「安い仕事」ではなく「新しく作る仕事」が安い——時給を上げる順番
単価を1円も上げずに、時給を倍にした順番。
前の記事で、私の足切りは「準備込みで時給2万円」だと書きました。この数字を持ってから、受け方が変わりました。ただし、足切りを持つことと、時給を上げることは別の作業です。この記事は、後者の順番です。
1. まず、本番の時間だけで割るのをやめる
いちばん最初にやったのは、計算の直し方でした。私は長い間、「1日15万円」を8時間で割って、時給1万8,750円だと思っていました。
実際には、その裏に資料を作る時間が丸2日、移動が往復6時間ありました。全部足すと、時給は1万2,500円でした。
同じ30万円の仕事を、準備の重さ別に割り直すと、こうなります。
| 準備の重さ | 総時間(本番8h+準備+移動) | 時給 |
|---|---|---|
| 資料が既にある | 10時間 | 30,000円 |
| 少し直す | 12時間 | 25,000円 |
| 半分作り直す | 16時間 | 18,750円 |
| ゼロから作る | 24時間 | 12,500円 |
同じ「30万円の仕事」が、上と下で2.4倍違います。金額は同じなのに、別の仕事です。ここを見ないまま「安い仕事が多い」と思っていたのが、私の8年間でした。
2. 「安い仕事」ではなく「新しく作る仕事」が安い
上の表から出てくる結論はひとつです。安いのは仕事の種類ではなく、毎回ゼロから作っていることです。
だから、時給を上げる最初の一手は、単価交渉ではありません。「既にある型で受けられる形に変える」ことです。同じテーマの依頼を、毎回相手に合わせて作り直していたものを、型を1つ持って、そこから差分だけ直す。それだけで、表の下の行から上の行に移ります。
私の場合、これで同じ金額の仕事が時給1万2,500円から3万円になりました。単価は1円も上げていません。
3. 移動を時給に入れる
次に効いたのが移動です。地方の対面で日帰り、往復6時間の案件は、金額が良く見えても時給に直すと足切りを割っていました。
ルールは単純にしました。往復3時間を超えたら、オンラインに切り替えるか、単価を上げるか、どちらかを相手に提案する。両方できなければ受けない。
4. 単価の「建て方」を先に確認する
相手によって、単価の建て方が違います。「1時間いくら」で建てる相手と、「1日いくら」で建てる相手がいます。この2つを混ぜると、片方の基準で見積もって、もう片方の相手に出してしまう事故が起きます。
見積もりの前に、「時間単価か、日額か」を先に確認する。それから計算する。順番が逆だと、後から直せません。
5. 時間を売らない収入を、1つ足す
ここまでは全部「時間を売る」前提の話です。時給には上限があります。働ける時間は月に140時間ほどで、それ以上は増えません。
その先にあるのが、教材・講座・書籍のように、自分がその場にいなくても売れるものです。正直に書くと、私はまだこれができていません。作りかけて出せずに止まっているものが、いくつもあります。ここは、この記事を書いている私自身の宿題です。【要確認】
6. 足切りを割る仕事を受けるときは、何を取りに行くかを書く
最後に、例外の扱いです。足切りを割る仕事を、全部断るわけではありません。今後伸びそうな相手、勉強になる内容、次の紹介が生まれる場、実績になる案件。掛け合わせる観点はいくつもあります。
ただし、赤字は赤字です。受けるなら「投資として受けている」と自覚して、何を取りに行くのかを一行で書いておく。書けないなら、それは投資ではなく、ただの安い仕事です。
順番をまとめると、①準備込みで割り直す → ②型を持って差分だけ直す → ③移動を時給に入れる → ④建て方を先に確認する → ⑤時間を売らない収入を1つ足す → ⑥割る仕事は「何を取りに行くか」を書く、です。
①と②だけで、単価を上げずに時給が倍以上変わります。まずそこからで十分です。